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DAY BY DAY

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2008年 12月 26日

一割は?

名古屋駅でのことです。
予定の乗車時間まで少し時間が空いたので、
時間つぶしにと駅前のビックカメラへ寄る。
目的の無い行動には心に隙ができるのかどうかは知らないけれど、
急に個室に入らなくてはならない緊急事態が発生したのです。
(お昼のエビかつ巻きが多すぎたかな?)
あいてるお部屋を目指し、緊急事態の収拾にかかろうとした瞬間、
目に入ったのがペーパーホルダーの上に誰かのお財布。
(まさか、用を足すのにお札を使う?)
あっ?もしかして悪いやつが悪い方法で手に入れて、
この小部屋で中身だけポケットに入れていったもの?

と、とにかく今は我が身に起こった緊急事態の収拾が先決事項です。
事態を収拾し、落ち着いたところで、
そっと現場に残された物証を捜査官は調べました。
きれいに並んだカード類。
きれいに重ねた現金。(おぉ、盗品ではなく、単なる忘れ物か)
嘘は時々つくけれど、ドロボーにはなりくない私。
身支度を整えて店員さんに渡さなくては。
ただ、このドアを開ける時が問題だ。
もし、ポケットに入れていたら、
近頃、物忘れが激しいおじさんはそのまま新幹線に乗ってしまうかもしれない。
若い頃、画塾の先生に「人の絵を見て盗みなさい。」なんて言われたけれど、
お財布は盗めとは一言も教わっておりません。

手にもってまずその手を見える位置に突き出すようにドアを開けました。
するとそこに待ってましたとばかりに若者がホッとしたような、
泣きそうな顔をして立っておりました。
若者よ、おじさんがいい人で良かったなぁ。
それにしても私のものより財布も中身も立派だったのは、
ちょっぴり気に入らない。
そりゃ感謝されましたよ。

あっごめん、渡した手、まだ洗っていませんでした。

# by fujita-art | 2008-12-26 23:50
2008年 12月 26日

目を上げると雪でした。


「しっかりした技術というものは、
 アーティストを奮い立たせるものだ。
 逆に、優れたアーティストというものは、
 技術を限界まで使いきるものだ。」

ピクサーで、3DCGレンダリングソフトの開発に携わり、
現在はディズニーにも関わるエド・キャットムルのことばです。
アーティストの部分を版画家に置き換えると
僕にもピンとくる言葉になります。
クリエイティブな仕事をしている人が
それぞれの仕事名に置き換えても良さそうです。
まぁ、とは言っても技術を限界まで使いきってはいないので、
優れたアーティストには成りきれないのだと、
陰口を叩かれそうではありますが。

今日はとても寒い一日でした。
出かけた先の車窓から、突然雪景色が現れました。
あわてて携帯カイロを取り出して、
ズボンのポケットに入れた次第です。(さぶっ)

# by fujita-art | 2008-12-26 20:12
2008年 12月 20日

マジカルミュージアムツアー

マジカルミュージアムツアー_d0114140_19242045.jpg


版画工房に集まっている方々と
マジカルミュージアムツアーです。
メンバーが予約してくれたお店でランチを頂いたあと
横須賀美術館まで短いドライブ。
今日から始まった僕の特集を見るために、
無理矢理みんなを誘った訳です。
歴史上に残る作品群を断ち切るように、
第6室と7室に僕の作品が並んでおりました。
入り口に掲げられたパネルは担当学芸員さんが
かっこ良いものに作り替えてくれておりました。
写真を撮っていると、係員が怖い顔をして近づいてきたので
撮影許可証をお見せしました。
作者の顔は知られていませんが、(笑)
美術館スタッフはしっかりお仕事をしておりました。
作品は作者を離れると、生みの親にも知らん顔です。
立派に巣立っておりました。

今日は天気がよく、とても気持ちのよい中庭に出て
最後はツアー参加者全員で、お約束の記念撮影。
楽しい午後でした。

マジカルミュージアムツアー_d0114140_1946482.jpg


横須賀美術館 小特集:藤田修


版画工房

# by fujita-art | 2008-12-20 19:28 | 美術館
2008年 12月 17日

子供たちの晴れ舞台

子供たちの晴れ舞台_d0114140_19222795.jpg


12月20日から始まる美術館の展示に立ち会うよう言われ、
雨の中、横須賀美術館へ出かけてきました。
担当学芸員によって選定された作品の並びのチェックと
ライティングの打ち合わせです。
美術館での展示は興奮します。
自分の子供たちの晴れ舞台です。
公立美術館でお披露目されるこの子供たちは
本当に幸せです。
工房にいた時より数倍、立派に見えます。
美しい美術館で、ひときわ美しく見えます。

横須賀美術館常設展示室(BF)、第6室と7室を使っての
小特集展示です。
来年の4月12日までだそうです。
レストランが評判の美術館でもあります。
ランチのついでに、寄ってください。



横須賀美術館 小特集:藤田修

# by fujita-art | 2008-12-17 19:25 | 美術館
2008年 12月 13日

メモリーは指先に


突然ですが、
脳はどこにあるのか考えたことありますか。
またお前はバカなことを言うと、笑わないでください。
脳はアタマ、頭蓋骨のなかにあるくらい
小学生でも知ってるゾ、と言われそうです。
じゃあ、記憶はどこにありますか。
記憶は脳の中だろうって?
はぁ、やっぱりそうですか。
でもね、最近思うんですよ。
記憶しているはずのものがどこにも見当たらないことが実に多い。
今読んでいる一冊前の本の内容とか、
おととい画廊であった人の名前とか、
ケータイの予備の電池を置いた場所だとか。
つまり、日常のあらゆる場面でそのような事件が多発している訳です。
「事件は現場で起こっているんだ!」

ところが、たまに学校に呼ばれて、
フォトポリマーグラヴュールの細かくも長々とした手順を教えたり、
版画工房でソフトグランドを塗布する時のウォーマーの温度と
エッチングに使用するニードルにはペンシル型のけがきを使うと良いとのアドバイスと
松やに粉末を版面に付着させるためにアルコールランプを外すタイミングと
メゾチントのためのインクの粘度をどのくらいにするとかを、
同時に教えることができるんです。
昨日食べた夕飯のおかずを忘れてしまうような私がです。
慣れない四人の方に同時にです。
あと六人いれば聖徳太子です(笑)。

っで、何が違うのかなって思った訳です。
三日前に読み終えた小説の内容を思い出せない現実と
版画工房でのアタマのさえは、同じニンゲンとは思えません。
考えました。
日が経つと忘れてしまいそうなのでその日のうちに。
わかったんです。
なんてことは無い。
手を使って覚えたことと目で覚えたことの違いです。
ですから、脳は手にあるというのが
わたくしの今日の研究発表でございます。





版画工房

Osamu FUJITA HP

# by fujita-art | 2008-12-13 19:21 | 版画