たとえば版画作りを長いこと続けていると、その版画技法の妙にはまってしまうことがあります。職人わざといっても良いかもしれません。それらは否定されるものではないし、作品の純度を上げるには、確かに必要不可欠なことではあります。ただ、そこで陥りやすいのが自分はいったい何を表現したいのかという、最も根源的な問題意識を錬金術師的な技術の高さの獲得で充足してしまう感覚です。
簡単に言えば、技術がなければ作品にならないのですが、技術だけがあってもだめだということです。実に厄介な問題です。
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「8:15」 2007年 ed.45 photopolymer gravure