
軽のワゴン車に作品を積んで慣れない首都高を走り、
上野に向かった。
高校、浪人時代と美大受験のために通っていた美術研究所の恩師が
公募展へ版画作品を応募すると言うので
バイト先の親方に車を借り、搬入を手伝うことになった。
ついでだからと自分の作品も積んで走った。
第47回日本版画協会展の公募部門へ出品するためだった。
助手席に座る無口な恩師と社交性の乏しい運転手。
それでも尊敬する恩師とのドライブは多少の緊張はあるものの
楽しい時間だった。
二人とも初めての公募展応募だったと思う。
1979年、私が大学を卒業した年の出来事だった。
結果
運良く二人揃って入選となった。
ただ違ったのは恩師は最高賞の「日本版画協会賞」を受賞していた。
その恩師とは力強い木版画で一世を風靡した磯見輝夫である。
一方私自身は搬出の帰りに見た毎日現代美術展に魅了され、
徐々にそちらへシフトして行く事になる。
職人的な技術を極めた版画家集団も魅力的だったが
実験的な立体作品やタブローが集まるコンペティションは
若い作家には充分すぎるほど更に魅力的なものだった。
10年後私は毎日現代展で続けて受賞するようになり現在に至る。
一方、恩師は版画家の王道を歩み、現在日本版画協会の理事長職に就く。
っで、
2月6日から恩師磯見輝夫先生の個展が横須賀美術館で行われるとの案内を頂く。
(島田しずさんとの個展形式の2人展のようです)
なんとも楽しみです。
あの頃苦楽を共にした友人たちとも会えるといいなと、思うワケです。
海と山に囲まれた美しい美術館です。
是非、多くの方々に見ていただきたいと思うのです。
2016年2月6日(土)〜4月10日(日)
横須賀美術館■写真は磯見輝夫「砂のかたち その人は此処を通りましたか」2006年 (部分)